2016年1月8日金曜日

2015年ディスクレビュー

 2015年にニューリリースした音源のレビューです。
 ☆が付いてるものはオススメ。

A Skylit Drive「Rise: Ascension」
 立ち上がるどころか昇天してしまったw
 ローズピアノやチェロを交えて、2013年の「Rise」をアコースティックで演奏した物(ボーナストラックの「Fallen」は無いので、全曲ではない)。
 ジャケットをよく見ると「Rise - Revisited & Unplugged」( = Rise - 再考 & 電源を最低限使用したアコースティック)という副題が付いている。
 紙ジャケットというだけでも嫌だが、ブックレットの類が無い。当然、歌詞カードも無い。不親切。これならダウンロード販売で買ったわ。
 言うまでもなくアンクリーンボイスは無いが、チェロはなかなか良い味を出している。
 「Rise」で良いと感じた曲はロックとして優れているのでアコースティックverが良いとはあまり感じなかったが、「Rise」であまり良いと思わなかった曲は「Rise: Ascension」で面白い曲になったと思う。
 ところで、最近Senses Failがあまりアコースティックやらないが、もう収録しないのだろうか?

ASIAN KUNG-FU GENERATION「Easter / 復活祭」
 「Wonder Future」の先行シングル。
 ここ最近、シングルは微妙に不振が続いたが、これの作曲は少しマシ。
 歌詞はここ最近の傾向通り、左翼チックなシロモノ。3曲目が曲・歌詞共に変化球になっている。
 表題曲はスラッシーな印象を受ける曲。Bad ReligionとかNOFXとかPennywiseとかを連想する。
 1曲目と2曲目を合わせて5分ほどしかないため、すぐ終わる。
 短い分、盛り上がりにも欠けるのため、「凄く駄目じゃないけど、良くもない」という評価を下す人が多いのでは。

ASIAN KUNG-FU GENERATION「Wonder Future」
 後藤がソロで出した「LOST」で示したような歌詞がアジカンの演奏で表現されたようなアルバム。
 パソコンでの管理上、半角スラッシュが保存できなくてウザい。
 今回は、レコード会社とプロデューサーの采配に恵まれなかった。
 シングルカットした「Easter / 復活祭」「Standard / スタンダード」とMVを付けた「Planet of the Apes / 猿の惑星」は、このアルバムに含む他の曲より良くないと思う。
 何が言いたいのか良く分からない歌詞も多いが、例によって、英語訳を読むと分かる部分もあって面白い。
 CD+DVD初回生産限定盤とCDのみの通常版は250円しか価格の差がない。要するに通常版が高いのだが、DVDの副音声が面白かった。
 後藤はtwitterだとかなり駄目な人だけど、ユーモアがあるなぁ、と。普段から言葉選べ、と思った。

Silverstein「A Midwestern State Of Emergency」
 「I Am Alive in Everything I Touch」の先行シングル。
 メロディーがキャッチーで、ギターサウンドも特徴的で本当に面白いと感じた。ピコピコテケテケに近い音が聞こえてくる一方で、ヘビーでもある。
 元々、「Punk Goes Pop 2」で「Apologize」が良い曲だと思っていたが、この曲でアルバムを揃えることを決めてしまった。
 2013年「This Is How the Wind Shifts」の、「Stand Amid the Roar」と「On Brave Mountains We Conquer」の良い所を両方持っているような曲。
 次のアルバムも期待できる1曲。


Silverstein「I Am Alive in Everything I Touch」 ☆
 前作は過度にメロウだった感もあるため、それに比べるとあっさり風味。
 Track1~3 Borealis = 北、Track4~6 Austeralis = 南、Track7~9 Zephyrus = 西、Track10~12 Eurus = 東が、それぞれの地域の宗教や生活を表しているらしいのだが、解説無しでは歌詞の理解が難しい。
 トロントなんて南とも東とも言えるような位置だし、歌詞中の「You」は「A Shipwreck in the Sand」同様「北米」とか「国家」とかを暗示しているかなぁ、と思わなくもない。
 私はアルバムの最後のスロー・ミドルテンポの曲が苦手な傾向があるが、Silversteinに関しては「A Shipwreck in the Sand」の「The END」同様、「Toronto (Unabridged)」もお気に入り。


Alesana「Confessions」
 これまでAlesanaはメロスピとパワーメタルとスクリーモを足して3で割ったような音楽をやってきたが、今までとは全然違う作り。
 シンセサイザーも駆使して、複雑な音作りとメロディーに仕上げている。
 「A Place Where the Sun Is Silent」や「The Emptiness」のホラーな感じとはまた異なる、悪く言えば流行りのメタルコア風の仕上がり。
 歌詞には「Annabel」や「Rusalka」がそこかしこに登場するが、Youtubeでこのアルバムの曲を聴いてから旧作に手を出したら違和感があるかも。
 スピーカーとYoutubeで聴いた時にはパっとしなかったし、冗漫な印象を受けたが、ヘッドホンで聴くとちょっと面白い。
 リードトラックの「It Was a Dark and Stormy Night」は前作の「Double or Nothing」に匹敵する格好良さ。
 Amazon.co.jp限定でTシャツ付き限定版もあるのだが、発売日は6/24(「Confessions」の発売日は4/21)。TRIPLE VISION仕事遅すぎ。


Helloween「My God-Given Right」
 ここ最近の3作に比べると「The Dark Ride」「Rabbit Don't Come Easy」の頃に近いか。
 歌メロ中心でギターの主張は弱く、何だか物足りない感じがする。「Creatures in Heaven」みたいな曲ばっかりだったら良かったのに。
 表題曲の「My God-Given Right」はAndiの声質を活かしたトラック。ミドルテンポだが、遅さを感じさせないクールな曲。
 「Lost in America」はGamma Rayに似すぎ。


Senses Fail「Split」
 Senses Failが、ポップパンクバンドMan Overboardと2曲ずつ、お互いの曲をカバーし合った物。
 「Renacer」「Pull the Thorns from Your Heart」より、こちらの方が好き。

Senses Fail「Pull the Thorns from Your Heart」
 今回も、完全に前作の流れを汲んでいる。「Follow Your Bliss」以前のメロディアスな作風ではない。
 曲調はハードコア・パンクに接近している。歌詞は内省的なエモコアを通り越して、スピリチュアルな方向に向かいつつある。歌詞カードには仏陀やジャラール・ウッディーン・ルーミーの引用が。
 前作に比べれば多少聴けるが、前作同様、オススメできるとは言えない。
 「Carry The Weight」なんかは曲の冒頭付近は良いけど、通して聴くとうーん・・・という感じ。
 「Dying Word」は格好良い。でも、このバンドに求められている曲なんだろうか?

Darkest Hour「The Mark of the Judas (re-mastered)」 ☆
 2000年にSouthern Lord Recordsから発売した「The Mark of the Judas」は、廃盤となり中古でも4000円近い価格が付いていたが、2015年にSumerian Recordsからリマスターされて再盤となり、新品・高音質な物が安価に手に入るようになった。
 リードトラックの「For the Soul of the Savior」は「Hidden Hands of a Sadist Nation」のボーナストラックとしても収録されているが、その時よりも鋭い音になっており、音質は申し分無い。
 個々の曲も、かなり良い。このアルバムもお気に入りに追加。
 余談だけど、ジャケットをネット上で見た時は、鍾乳洞とか古代の浴場とかで、上から下に水が流れてるのかと思ってた。実際は全然違った。普通に、バンドメンバーのぼやけた写真だった。衝撃を受けた。

Soilwork「The Ride Majestic」
 「The Living Infinite」と「Beyond the Infinite」は聴いてて眠くなるアルバムだったが、今回は粒ぞろい。
 楽器の音が分離していて、聞き応えがある。特にドラミングは、「The Panic Broadcast」の時の激しさが帰ってきた。
 「The Living Infinite」と違って、それぞれの曲が終わりに近づいても失速しない点が良い。
 尤も、何度聴いてもTrack2「Alight in the Aftermath」以外、特に好きな曲がないが。
 歌詞は、パワーメタルばりのクサさ。「死ぬことの恐怖」と「生きている間、正気を保つこと」を表現したらしいが、全くワケが分からない。

Blessthefall「Up in Flames」「Walk on Water」
 「To Those Left Behind」の先行シングル。
 「To Those Left Behind」が「Hollow Bodies」路線であることを匂わせる。
 曲の構成はシンプルだが、キャッチーで良い。
 後者にはMVがあるが、どちらかと言うと前者の方が好き。


A Skylit Drive「Within These Walls」 ☆
 てっきり、次のアルバム(=「ASD」)の先行シングルだと思っていたが、未収録の模様。
 アンクリーンボイス担当のBrian Whiteがまさかの脱退。Of Reverieという聞き覚えの無いバンドからMichael Labelleが加入。
 この1曲を聴く限り、Michael Labelleのグロウルは全然悪くない。
 更に、何をモメたのか知らないけどドラムのCory La Quayも脱退。Fearless Recordsではお馴染み、Motionless In WhiteからBrandon Richterが加入。
 曲も良いし、Michael Jagmin渾身のハイトーンボイスも炸裂している。


A Skylit Drive「ASD」 ☆
 メロディカルでファストなグルーヴの曲のみで構成されていて、アルバム1枚がアっと言う間に聴き終わり、退屈させない。
 ボーカルの無い部分は少なく、「Identity on Fire」に比べてギターの主張が少なめ。
 アンクリーンボイスの使用は、過去最多。過去のアルバムとは印象の違うアルバムになったが、「Shock My Heart」や「Find a Way」は前作「Rise」を思わせる。
 ただ、曲の構成や歌詞は、同じフレーズを再三使用するので、似たような曲ばかりという感も多少ある。
アナゴの全裸ロリ母さんはマッフィーだ: A Skylit Drive「Self/Less」

Blessthefall「To Those Left Behind」
 アンクリーンボイスのバースでクリーンボイスのコーラスとブリッジを挟むメタルコアの最たる物。
 歌詞カード裏面の、一枚に繋がったジェケットイラストが美麗。
 「ASD」が完全に歌メロ重視なのに対して、こちらはギターとドラムの主張も激しい。
 「Witness」の頃を思わせるTrack1「Decayer」からTrack4「Up in Flames」までは素晴らしい曲が続くが、その後少々ダレる。
 全体の完成度は「Hollow Bodies」より上だと思うが、それぞれの曲にここ!というキャッチーなフレーズがもう一声あると良かったように思う。
 ちなみに、The Black Dahlia Murder「Abysmal」45位を上回るbillboard初登場23位。人気あるなぁ。
 今作の「Dead Air」も「Bones Crew」同様クリーンボイスのみの曲で、すごく良い出来。脱screamoしても良いのに、このスタイルで頑張っているのは凄い。
アナゴの全裸ロリ母さんはマッフィーだ: Blessthefall「Dead Air」

Children Of Bodom「I Worship Chaos」
 ローペが脱退してしまい、4人体制での発表となった。
 5人体制になったらこのアルバムの曲は、ライブでどうするんだろう・・、と思ったが、リズムギターもアレキシが書いてプレイした模様。
 今までのアルバムに比べると、かなりスラッシー。
 リードトラックもさることながら、Track4「Horns」も、ドロドロしていて格好良い。好き。
 Track10「Widdershins」は全体的に好きだけど、盛り上がりに今ひとつ欠ける。デスメタルに盛り上がりを求めるのは間違いだとは思うが、COBにならそれを求めてしまう。
 このアルバム自体にそれほど不満はないが、前作までの方が面白い音をしていると思う。
 Amorphis「Black Winter Day」のカバーは原曲重視系というか、まんまで面白くない。
 「Aces High」のカバーも好きだけど、ポップを無理矢理デスカバーする方がCOBらしくて良い。
 私は「Halo of Blood」の方が好きだが、発売日の近かった物で比べるとSoilworkの「The Ride Majestic」よりは、こちらの方がオススメ。

0 件のコメント: